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「14年という月日が変えたもの」 [2024年度三陸地域訪問]

  • 執筆者の写真: 塚崎 真広
    塚崎 真広
  • 7月1日
  • 読了時間: 5分

塚崎 真広 

 岩手らばーずに入った主な理由が、震災について真剣に学んでみたかったからであった私にとって、この訪問で多くのことを経験することができた。

 団体としての訪問の二日前から、私とメンバーの木内は岩手県に移動し、大船渡にて二泊三日で行われたイベントに参加した。





■山火事に見舞われた大船渡市を訪問

 大船渡も14年前の東日本大震災で大きな被害を受けた。ただ、訪問時には現地で別の災害が起きていた。それがニュースでもたびたび取り上げられていた「山火事」である。

 ツアーの内容も変更され、新たに避難所での炊き出しボランティア活動が加わった。

 私は避難所での活動を通じて、他人と同じ空間で過ごすことのストレスや不便さを実感した。次の日にすべての地域の避難指示が解除され、家が被害を受けた世帯を除いて多くの人が避難場所を離れることができたものの、たった2時間程度の体験だったが、これよりも長期間避難生活を強いられた東日本大震災において、人々の身体的・精神的な苦労は計り知れないものだったと想像できる経験だった。

 今回の経験を通じて、災害時の避難生活の厳しさや、支援の重要性を身をもって学ぶことができた。これらの学びを今後の活動に生かしていきたいと思う。



三陸町公民館にて炊き出しボランティアを行ったときの様子
三陸町公民館にて炊き出しボランティアを行ったときの様子

 

■植樹活動

 団体としての訪問の初日、陸前高田にて、私たちは日ごろからお世話になっているバンザイファクトリーの皆さんが行っている椿の植樹活動に、陸前高田第一中学校の卒業記念製作の植樹会のボランティアとして参加した。

 大船渡や陸前高田の津波の被害を受けた地域のほとんどは、人が住めない商業エリアとなっており、特に陸前高田においては、そのエリアが公園や伝承館があるくらいで、ほとんどが見渡すことのできる平地であった。

 14年という月日は、区画整備等で街並みを完全に変えるものになったのだろうと、以前の街並みを知らない私でも、隠しきれない東日本大震災の被害を感じるものになった。

大船渡や陸前高田に共通することについて、大きな被災をしていない私のような人間にとって、まちから災害を学ぶことができなくなってしまっていると感じた。

 つまり、被害がほとんど修復されて、被害があったかどうかが分かりにくい街になっているということである。

 ただ、これはまちで暮らす市民にとっては、心の痛む災害の記憶が薄れ、まちとしても暮らしやすいものとなる。

 大船渡のツアー会社の方もおっしゃっていたが、いまだに震災遺構を残すかについての考えは二分されていて、未だに海を見ることのできない人さえいるという。

 

 話は植樹中のことに戻るが、「お母さんにも届くように成長するといいね。」と植樹中に先生が生徒に言っていた。何の変哲もなく交わされていた会話であるが、私にとってはその一文でさえ、重すぎる言葉だった。

 そこで気づいたことは、まちは14年で大きく変わっているものの、被害の傷は今も現地で暮らす人の中に変わらず残っているのだということである。


陸前高田市にて植樹活動を行ったときの様子 ※プライバシー上の観点からぼかしを入れています
陸前高田市にて植樹活動を行ったときの様子 ※プライバシー上の観点からぼかしを入れています

■震災遺構を見学

 2日目の3月11日は場所を変え、大船渡や気仙沼で活動を行った。

気仙沼では、震災の起こった14時46分に、震災遺構の一つである旧気仙沼向洋高校の屋上で黙祷を行うことができた。

 この伝承館では、実際の高校OBの方や地元中学生の方の案内で、回ることができた。

いろんなものが散らばり、車が津波で校舎に突っ込むなど、被災当時が想像できるくらいリアルに残っていた。

 案内していただいた方たちも、「判断ひとつ間違っていたら、今日皆さんの前に立ってご案内することさえできていませんでした。」などとおっしゃっており、命というものの儚さや大切さを、現地の方の言葉を聞き、そのまま残っている校舎を実際に見たからこそ、肌で感じ取ることができたように思える。


気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館 (旧気仙沼向洋高校)を訪問した時の様子
気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館 (旧気仙沼向洋高校)を訪問した時の様子


■この訪問を通して

 以上のように、私は今回の訪問で、見るだけでなく、被災された方々の言葉を直接聞くことができ、14年という月日によって見えにくくなってしまった被災の悲惨さや大きさを、肌で感じ取ることができた。

 現代においては、メディアやインターネットを通じて、当時の様子や現在の状況に簡単にアクセスすることができるが、実際に被災された方々とお話しすることや、現地の海産物を味わうことなどは、現地に赴かなければ経験できないことである。

 そして、そのような経験は、災害大国である日本に住む一員として、大きな学びとなることを、この訪問を通じて実感し、これからの防災についても考えるようになった。

 私は、これからも実際に現地を訪れることによって得られる知識や学び、そして人とのつながりを大切にしていきたいと思えた訪問であった。


大船渡の三陸復興国立公園からみた朝日
大船渡の三陸復興国立公園からみた朝日


大船渡のみなと公園を訪問した際にIAT岩手朝日テレビに取材を受けた時の様子
大船渡のみなと公園を訪問した際にIAT岩手朝日テレビに取材を受けた時の様子

執筆者

塚﨑 真広(岩手らばーず2024年度代表/ 都市科学部 都市社会共生学科 3年 塚崎 真広)

編集

岩手らばーずHP係



<訪問概要>


・訪問地域

岩手県大船渡市

訪問期間

2025年3月8日(土)~3月10日(月)

・主催

大船渡市

・旅行主催

三陸ツアーズ/岩手開発産業株式会社 様

・参加メンバー(本団体より)

塚崎 真広, 木内 亮吾


[2024年度三陸地域訪問]

・訪問地域

岩手県大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市

・訪問期間

2025年3月10日(月)~3月11日(火)

・参加人数(学生名)

横浜国立大学「岩手らばーず」メンバー8人

(塚崎 真広, 前田 実玖, 木内 亮吾, 西 陸之介, 永田 光佑, 山田 光太郎, 髙橋茉那)

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